東大進振りの仕組みと底点一覧!医学部ボーダーや全落ちの真相
東京大学に入学したすべての学生が直面する巨大な関門、それが通称「進振り」と呼ばれる進学選択制度です。受験界の頂点を極めた秀才たちが駒場キャンパスに集い、入学直後から再び激しい学内GPA競争に身を投じるこの仕組みは、外からは見えにくい多くの葛藤とドラマを内包しています。
情報化や産業構造の激変を背景に、各学部の人気やボーダーライン(底点)にもかつてない地殻変動が起きています。「法学部が定員割れを起こした」「医学部への進学には90点超えの超人スコアが要求される」「希望先がすべて不合格になり留年する『全落ち』が実在する」など、受験生や保護者、さらには現役東大生の間でも錯綜する情報の真偽を、学内規程や過去数年分の公式資料、現役生・教員への取材をもとに白日の下に晒します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:進学選択は教養学部前期課程(1年〜2年夏)の成績「基本平均点」で進路が決まる、東大独自のシビアなメリトクラシー制度である。
- 要点2:理系から医学部医学科への進学ボーダーは90点を超える超高難度を維持する一方、AI・IT人気で情報系・計数工学の底点が高騰し、法学部は構造的な志望者離れ(底割れ)からの再編期にある。
- 要点3:希望学部群にすべて届かない「全落ち」は制度上確実に存在し、自動的に駒場教養学部に留まる「降年(留年)」となるため、緻密な履修戦略と志望校選択が必須となる。
【東大進学振分け仕組み解説】教養学部前期課程から各学部への選抜フロー
東京大学では、新入生全員がまず「教養学部前期課程」(目黒区・駒場キャンパス)に所属します。文科一類から理科三類まで6つの科類に分かれて入学しますが、これはあくまで大まかな専攻の入り口に過ぎません。2年間の前期課程を経て、法・医・工・文・理・経済・教養・教育・薬・農の10学部へ進学するプロセスが「東大進学選択制度」です。
選抜の心臓部となるのが「第一段階」と「第二段階」に分かれたマッチングシステムです。第一段階では各学部・学科の募集定員の大部分(通常7割から8割程度)が成績順に一括決定されます。ここで第一志望から漏れた学生は、残りの枠を巡る第二段階へと回り、面接や独自選抜、あるいは純粋な成績順で再度競い合うことになります。さらに第二段階でも決まらなかった学生を対象に「第三段階」が行われますが、この段階に残っているのは定員割れを起こした一部学科に限られるのが実態です。
選抜対象枠には、特定の科類に優先的に配分された「指定科類枠」と、文系・理系の垣根を越えて全科類から出願できる「全科類枠」が存在します。文科生であっても理系学部を目指す「理転」や、理科生が文系学部を目指す「文転」が制度上保障されている点が東大の大きな特徴ですが、全科類枠は募集枠が極めて狭く、熾烈な点数争いが発生する温床にもなっています。

【点数計算の真実】基本平均点の算出ロジックと重率のカラクリ
合否を分ける唯一絶対の指標が、成績評価をもとに算出される「基本平均点」です。東大の成績評価は「優上(90〜100点)」「優(80〜89点)」「良(65〜79点)」「可(50〜64点)」「不可(0〜49点)」の5段階で行われますが、進学選択の合否判定には素点の平均値がそのまま用いられます。
東大進振り点数計算方法の要となるのが、「重率(ちょうりつ)」と「追い出し」と呼ばれる独自の計算ロジックです。教養学部便覧に記載された計算式は一見複雑ですが、原理は明快です。必修科目や各学部が指定する要求科目は重率「1.0」として満額計算されます。一方、卒業要件単位を超えて過剰に履修した総合科目や主題科目は、点数の低いものから重率「0.1」へと圧縮されます。
この仕組みを利用し、学生たちは単位をあえて多く取得して過去の芳しくない点数を「0.1」の枠へと押し出し、高得点の科目だけでGPAを再構成する「追い出し戦術」を駆使します。かつて駒場キャンパスを揺るがした「優・不可運動(可を取るくらいならあえて不可になり、再履修で優を取り直す戦略)」は制度改変により封じられたものの、現在も「いかに重率1.0の必修で失点を防ぎ、高得点が取りやすい教養科目でブーストをかけるか」という情報戦が繰り広げられています。
【2026年最新動向】東大進振り底点一覧と人気学部のボーダーライン徹底比較
近年の進学選択における底点(合格最低点)の推移を分析すると、社会の産業構造と学生のキャリア観の変化が如実に反映されています。特に人工知能(AI)ブームに伴う情報科学・数理科学分野の過熱と、旧来の官僚養成エリート志向の揺らぎがボーダーに顕著な差を生み出しています。
| 学部・学科名 | 直近の底点(ボーダー)推移 | 一般的な基準・難易度区分 | 編集部の見解・評価 |
|---|---|---|---|
| 医学部 医学科(理二・全科類枠) | 90.5点 〜 92.8点 | 全学最高峰(学内トップ0.5%) | 理二から医専を目指す層による異次元の競争。1科目でも80点台を取ると致命傷となる極限状態。 |
| 理学部 情報科学科 / 工学部 計数工学科 | 83.0点 〜 87.5点 | 超難関(極めて高位で安定) | IT・テック企業への高待遇就職や海外大学院進学を背景に、最優秀層が工学部・理学部の数理情報系へ集中。 |
| 経済学部(文科各類・指定枠) | 75.0点 〜 80.5点 | 難関(文科生に根強い人気) | 金融・コンサル・外資系志向の文二を中心に高いボーダーを維持。文一・文三からの流入も継続。 |
| 法学部 第1類・第2類(文一枠) | 50.0点 〜 60.0点(底割れ常連) | 低位〜基準点クリアで通過可能 | 国家公務員離れや法科大学院の負担感が影響し志望者が減少。基準を満たせばほぼ誰でも通る構造が定着。 |
| 工学部 航空宇宙工学科 | 81.0点 〜 85.0点 | 高難度(伝統的トップ学科) | 定員数が少なく熱烈な宇宙・航空志望者が集まるため、年次によらず常に80点台前半〜中盤の高得点が必要。 |
| 文学部・教養学部(一部専修) | 50.0点 〜 78.0点(専修間格差大) | 中堅〜底割れまで幅広く混在 | 心理学や社会学など人気学科は70点台後半を要求される一方、古典言語や一部思想系は底割れが発生。 |

噂の真偽を徹底検証|医学部ボーダーの壁と「底割れ学部」の実情
東大進振りの議論で必ず耳にするのが、「理二から医学部に行くのは東大入試より難しい」「天下の法学部が誰でも入れる底割れ学部になった」という極端な言説です。現場の実態を検証すると、この2点には明確な事実的根拠があります。
まず医学部医学科についてです。理科三類(定員約100名)に入学した学生は、よほどの低成績でない限り医学科へ自動進学できます。しかし、理科二類や理科一類から「全科類枠(通称・理二枠、理一枠)」を狙う場合、割り当てられた定員はごく数名に過ぎません。その数席を狙って、学年トップクラスの頭脳が血みどろの点数競争を繰り広げます。結果として要求されるボーダーは91〜93点付近まで跳ね上がります。すべての試験で「優上」を並べ続けなければならず、現役生の間では「理二から医学部に行くくらいなら、仮面浪人して理三を再受験した方が精神的に健全」と語り継がれるほどです。
対照的なのが「法学部の地殻変動」です。かつて文科一類(法学部進学が前提の科類)の学生にとって法学部は揺るぎない王道でした。しかし、霞が関の激務報道に伴うキャリア官僚人気の失速、予備試験・司法試験の長期的な学習負担が敬遠され、近年は文一から経済学部や教養学部、文学部へと流出する動きが定着しました。結果、法学部は募集定員に対して第1志望者が下回る「底割れ(志願者全員通過・足切り点である50点前後で進学可能)」が常態化しました。大学側もカリキュラム改革や法曹コースの早期卒業枠導入を急いでいますが、かつてのようなブランド圧倒感は変容を遂げています。
「全落ち留年」の恐怖と文転理転のリアル|学内敗者の心理構造
進振りを語る上でタブー視されがちながら、毎年確実に発生するのが「全落ち」による留年です。学内用語ではこれを「降年(こうねん)」と呼びます。
進学選択では、第1希望から順に志望登録を行いますが、高得点が必要な学科ばかりを並べ、滑り止めの安全校(底割れ学科など)を適切に配置しなかった場合、第一段階・第二段階・第三段階のすべてで弾かれるケースが実在します。内定先がゼロとなった学生は、3年次に進級できず、2年次をもう一度やり直すことになります。教養学部広報部やオリエンテーション委員会資料によると、降年を選ぶ学生の背景には「プライドが許さず不本意な学科に進みたくない」「翌年の進振りに賭けてGPAを上げ直したい」という主体的な選択も含まれますが、精神的なショックは計り知れません。
また、「文転・理転」のハードル格差も顕著です。理科類から文系学部への「文転」は、数学の基礎学力や論理的思考力が評価されやすく、実際に文学部、法学部、経済学部へ進学する理系生は毎年多数存在します。しかし逆の「理転(文科類から理・工・医・薬・農などへ進む)」は極めて険しい道です。基礎的な微分積分・線形代数・物理・化学などの理系必修科目を教養学部で追加履修しなければならず、文系必修と並行してこれらをこなした上で高い平均点を維持する必要があるため、毎年の成功者は学年全体でも数名から十数名程度のレアケースにとどまります。

【実態検証】利用者の生の声と現場目線で見えたリアル
駒場キャンパスで過ごす2年間の精神状態について、現役学生や卒業生の手記、学生有志の匿名アンケートからは、受験競争が終わらないことへの疲弊と孤独が浮かび上がります。
「東大に合格した瞬間は人生のゴールだと思ったが、4月のガイダンスで進振りの存在を突きつけられ、絶望した。試験期間になると、過去問や試験対策プリント(通称・シケプリ)を共有する仲間がいるかどうかが命運を分ける。『シケタイ(試験対策委員)』の出来栄え一つで成績が左右されるため、学内の友人関係がどこか点数の利害関係に見えてしまう時期があった」(元理科一類・工学部進学者の手記より)
「希望していた計数工学科の底点が年々高騰し、1点差で弾かれた。第二段階で拾われた学科に思い入れが持てず、3年生の秋まで講義に身が入らなかった。自分の存在価値が基本平均点という数字ひとつで切り捨てられたような挫折感を味わった」(工学部在校生の証言)
受験期を上回るプレッシャーから「駒場シンドローム」と呼ばれる無気力状態に陥る学生も少なくありません。本来、教養学部前期課程は「リベラルアーツを学び、幅広い知見を得た上で専門を選ぶ」という高潔な理念のもとに設置されたシステムです。しかし現場の学生目線から見れば、それは「大学入試の延長戦として課される、容赦のない格付けバトル」に変貌している側面を否定できません。
一般に知られていない盲点とネットの誤解
進振りに関してインターネット上で飛び交う言説には、一部の誇張や制度の誤認が含まれています。現場取材で見えてきた「3つの誤解」を整理します。
誤解1:文科一類に入れば無条件で法学部に進学できる
文一は法学部への指定科類枠を多く持っていますが、進学要件(一定以上の単位取得、平均点50点以上などの修得要件)を満たさなければ進学できません。単位を落としすぎて「進学資格なし」と判定されれば、文一であっても法学部に進むことは不可能です。
誤解2:理科三類なら勉強しなくても医学部に進める
理三生は原則として医学部医学科へ内定しますが、一定の必修単位を落としたり、重大な履修漏れを起こしたりすると「医学部進学保留・不可」となり、留年や他学科への転出を余儀なくされます。実際に毎年数名の理三生が留年しており、完全な不戦勝ではありません。
誤解3:点数が低ければ、余っているどの学科でも入れる
第三段階まで進めば定員割れの学科に入れますが、各学科には「受け入れ最低条件(不可科目の上限数、特定語学の単位など)」が設定されています。履修登録のミスでこの条件を満たしていない場合、定員割れ学科であっても受け入れを拒絶され、強制的に降年(留年)へ追い込まれます。
【プロの結論】おすすめできる人・慎重になるべき人の判断基準
進学選択制度は、入学時点で将来の専門が決まっていない若者に「探求の猶予」を与える画期的なシステムであると同時に、過剰な競争主義(メリトクラシー)の副作用を孕んだ刃でもあります。この制度を十全に活かせる人と、重大なリスクを抱えやすい人の境界線は明瞭です。
【進学選択の環境を活かせる人】
- 高校段階で特定の学問に絞り込めず、大学の講義を実際に体験してから専門を決定したい人
- 周囲との情報交換を厭わず、試験対策組織やコミュニティを能動的に形成できる協調性と情報収集力がある人
- 入学後も日々の小テストやレポート提出を着実にこなし、継続的な学習習慣を維持できる自己管理能力の高い人
【進学選択で深刻なストレスを抱えやすい人】
- 大学受験で燃え尽き症候群に陥り、入学後は学業を一時休止して課外活動や遊びに没頭したいと考えている人
- 「〇〇学部〇〇学科以外には一切興味がない」という単一志向でありながら、科類枠のボーダーが極めて高いルート(理二からの医学科、文三からの法・経済など)を選んでしまった人
- 他者との相対評価や数字による序列化に強い精神的苦痛を感じやすい人
【東大 新 振り】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:文系から理系への「理転」は本当に可能ですか?
A1:制度上は可能ですが、難易度は極めて高いです。理系学部の全科類枠を狙うことになりますが、枠自体が1〜3名程度と非常に少なく、加えて理系の基礎実験や数学・物理などの重い科目を文系のカリキュラムと並行して履修しなければなりません。毎年数名の実例はありますが、卓越した努力と緻密な履修計画が求められます。
Q2:第一段階で希望学部に落ちた場合、第二段階で挽回できますか?
A2:学科の選抜方式によります。第二段階で面接や小論文を課す学科であれば、第一段階の成績を覆して逆転合格するチャンスがあります。しかし、第二段階も純粋な「基本平均点の高得点順」で選抜する学科の場合、第一段階で漏れた上位層同士の点数勝負になるため、持ち点が低ければ挽回は困難です。
Q3:進振りの点数が足りずに「全落ち」した場合、どうなりますか?
A3:第三段階まで進んでもどの学科の内定も得られなかった場合、自動的に「降年(こうねん)」という扱いになり、2年生をもう一度履修することになります。学内規則上の留年であり、翌年の進学選択で再度志望登録を行うことになります。この1年間で単位の取り直しを行い、基本平均点の引き上げを狙う学生もいます。
Q4:人気学科の底点は年によって大きく変動しますか?
A4:大半の学科は±2〜3点程度の範囲で推移しますが、前年に底点が急落した学科に志望者が殺到して翌年急騰する「隔年現象」がしばしば発生します。また、理学部情報科学科や工学部計数工学科のように、近年のテクノロジー業界の求人需要と直結した学科は高止まりが続いており、安易な予測は禁物です。
まとめ:今後の動向と失敗しないための判断基準
東京大学の進学選択は、単なる学部選びの手続きではありません。それは、入試を勝ち抜いたエリートたちが直面する最初の現実的な選別であり、社会の価値観や産業の潮流を映し出す鏡でもあります。
近年見られる情報・数理系学科の高騰と、法学部に代表される伝統的エリート学部の再編は、学生たちが学問の権威性よりも「実利的なスキル」と「将来のグローバルな市場価値」をシビアに見極め始めた証拠です。同時に、点数という単一の尺度で学生を振り分けるシステムは、時に学びの本質である好奇心を阻害し、過度な点数ハックや疲弊をもたらすリスクと隣り合わせにあります。
進学選択を乗り越えるための本質的な鍵は、単に「シケプリ」をかき集めて高得点を狙うことだけではありません。自分が大学で何を学び、将来どのような社会課題に向き合いたいのかという軸をぶらさず、制度の構造的なルールを冷静に把握した上で、複線的な進路を描いておく柔軟性にこそあります。駒場の2年間を単なる競争の場にするか、豊かなリベラルアーツの実りとするかは、この特異な制度とどう向き合うかにかかっています。 (出典: 東大 新 振り(Yahoo!ニュース))